未払いの給料について社労士さんに相談してきました

こんにちは、15年勤めたデザインプロダクションを辞めてフリーになったデザイナーの中川あるくです。

会社を辞めはしたものの、給料は未払いのままだし、外注として受けた仕事の請求書も出せていない、おまけに昨年の年末調整の還付金まで未払いのまま。

1人で悩んでいても解決に向けて進むわけではないので、意を決して専門家に相談してきました。

やはりプロに相談すると的確なアドバイスがいただけますね。

労務のことは社労士に相談するのが一番です。

そして、広告やその他デザインに関してはデザイナーに相談しましょう(笑

一人で考えていても迷うばかりで結論が出ない

世界が鉛色に見える。

未払いの給料を支払ってもらう方法は大きく分けて2つあります。

訴訟を起こすか、未払い賃金立替払い制度を利用するかのどちらかです。

もちろんその前に話し合い・交渉で解決できれば良いのですが・・・。

僕の場合、問い合わせても明確な返事がいただけない状態です。

だから法的な手続きについて調べ始めました。

手続きには時間もかかりますし、期限なんかもあるわけです。

時間は限りある資産ですから、いつまでも1人で悩んでいられません。

立替払い制度ってなに?

未払い賃金の立替払い制度とは。

未払賃金の立替払制度は、労働者とその家族の生活の安定を図る国のセーフティーネットとして、企業倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者に対し、「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて、その未払賃金の一部を政府が事業主に代わって立替払する制度です。

独立行政法人 労働者健康安全機構 webサイトよりhttps://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/417/Default.aspx

要するに、賃金を払って貰おうにも、その会社が倒産してしまっていて、どうにもならない場合は、会社に変わって国が未払いの賃金を立替払いしますよという制度。

ただし、立替払いしてもらえるのは対象となる賃金の80%まで、年齢によって上限額が決まっています。

20%は国が取って行きますが、請求や差し押さえなどの面倒な作業をやってくれるわけです。

20%の額は人によって異なりますが、訴訟を行えば弁護士費用がかかるわけで、そのかわりと考えればいいかなと個人的には思います。

何より、本人が会社や経営者と直接交渉せずに済むというのがこの制度のメリットだと思います。

僕が辞めた会社の代表は、交渉相手にするとかなり面倒な人なので、第三者が僕の代わりに取り立ててくれるというのはありがたいです。

詳しく知りたい方は当該サイトをご覧ください。

サイトからダウンロードできるパンフレットの方がよくまとまっています。

以下のURLのページからダウンロードできます。https://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx

で、この制度を利用する上でのポイントは、退職した会社が倒産状態であるということ。

倒産には法律上の倒産と事実上の倒産の2種類あります。

法律上の倒産 

   破産手続開始の決定(破産法)・特別清算手続開始の命令(会社法)

   再生手続の開始の決定(民事再生法)・更生手続開始の決定(会社更生法)

独立行政法人 労働者健康安全機構 webサイトよりhttps://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx

ニュースになるような、規模の大きな会社の場合ですね。

事実上の倒産(中小企業事業主のみ)

   企業が倒産して事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がない状態になったことについて労働基準監督署長の認定があった場合

独立行政法人 労働者健康安全機構 webサイトよりhttps://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx

僕が狙うのはこちら。

ちなみに、回収できる賃金は退職日から6ヶ月前の給料までです。

パンフレット「未払賃金の立替制度のご案内」より引用

この点から考えても、給料の未払いが発生し、その先も会社の業績が回復する要因がなければ、すぐに退社した方が良いですね。

今、会社を生かしているのは僕

僕が勤めていた会社は、代表と社員は僕の2人だけ。

たった1人の社員の給料が払えないほどの利益しか出ていません。

そんな会社ですが、現在も事業を続けています。

なぜなら年間契約で受けている業務が1つ、唯一まとまった金額の案件で、この案件で食いつないでいるからです。

ですが、実際にはこの業務は外注として僕が受けて回しています。

この案件を会社に入らないようにすれば事実上の倒産に持ち込めます。

なので、この方向性で引き続き社労士さんと相談をすることに決めました。

倒産に追い込む僕はひどいヤツなのか?

僕のすることは悪なのか?

僕はずっと迷っていました。

僕が未払い賃金の立替払い制度を利用すれば、会社を倒産させることになります。

現在は残念な会社で、面倒な代表だけれど、僕は15年、この会社でデザイナーとして学びキャリアを積んできました。

僕の中には悪感情だけでなく、恩義を感じる部分もあるのです。

その会社に僕が自らトドメを刺すわけです。

退社からずっと、割り切ることができずにいました。

実は、未払い賃金の回収方法よりも、その迷いについて誰かに助言を請いたかったんです。

今回相談した社労士さんは、自身でも未払いの給料を本人訴訟によって解決した経験を持つ人。

その経験から労働者の立場で考えてくれる人です。

でも、現在は事務所を営む経営者でもあるわけです。

その彼が言いました。

中川さんが良心の呵責を感じる必要はありません。

いい時も悪い時も経営者には果たすべき責務がある。

その責務を果たせないことは経営者本人が攻めを負うべきだと言ってくれました。

僕が一番悩んでいたことに、明確に答えを与えてくれました。

もう1つ、僕の心に響いた言葉があります。

それは、こんな横暴、泣き寝入りを許す社会のままで良いのですか?と言うもの。

厳しい状況にある経営者をおもんばかって自分の権利を取り下げる、いかにも日本人的で美談にも聞こえるけど、もし、あなたの息子さんがあなたと同じように給料の未払いで悩んでいるときに、諦めなさいと言うんですか?

そんなこと言えないよね。

視点を変えて考えるのは、マーケティングの手法の1つだけど、僕はこれが全然できていませんでした。

相談は第三者のプロにするのがやっぱり一番

会社という狭い範囲で物事を見ていると、知らない間に社会の「あたりまえ」とズレてきます。

今回初めて自分と接点の無い人に相談しましたが、やっぱり相談してよかったです。

自分は相当、社会の「あたりまえ」とズレていることがわかりました。

そして、誰がどういった責任を負うべきか、取るべき方法もより具体的になりました。

ネットを検索すれば、給料未払いに関する様々なページがヒットするけど、そこにあるのはただ単に制度の説明だったり、誰かの奮戦記だったり。はたまた法律事務所のアフィリエイト記事だったり。

知識を蓄えることも大切だけど、行動もしよう。

情報は確かにあるけれど、そこに書いてあることは僕のことじゃ無い。

自分の言葉で質問し、僕の状況を理解した上でプロが回答する。

そうしなければ自分にとっての最適解は得られません。

僕と同じように悩む方には、ぜひ積極的にプロに相談してほしい。

その際は、有料相談を僕はお勧めします。

自分の相談が真剣なものであることを相手に伝えられるし、プロの知識と時間を得るからです。

相談の対価を支払わないのは、給料を支払わない会社と同じになってしまいます。

僕はそれだけは御免です。

ちなみに条件に合致すれば無料で相談を受けられる制度があるので、経済的に余裕が無いならもちろん制度を利用してください。

民事法律扶助による法律相談

民事法律扶助業務とは、経済的に余裕がない方が法的トラブルにあった時に、無料で法律相談を行い(「法律相談援助」)、弁護士・司法書士の費用の立替えを行う(「代理援助」「書類作成援助」)業務です。

日本司法支援センター 法テラスhttp://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/minjihouritsufujo/index.html